てのひらから零れ落ちる光。
 輝ける太陽の下で呼吸する。
 それは、ひどくあたたかい夢。




「随分と遅いお目醒めね」
 力無く持ち上げた瞳の先で、柔和な笑みが佇んでいる。
「ふふ、まだ眠ってるのかしら」
 応えようと、吐き出した息は声にならない。
 けれど感覚に聡い彼女は気づいたようで。
「もう朝よ?」
 海のような青の隙間から覗く、傾げられた首の色がやけに白い。
 緩やかに息を吸った時、溢れる光の欠片が身体の中へ溶け込むような錯覚を覚えた。
 優しく微笑む女性へ、女神、だなんて気障な言葉を口に出す勇気も思考も、寝起きの頭では持ち合わせていない。
 けれど光を背にするその姿はあまりに柔らかで、優しい光に満ちていて。
「……」
 重い身体をどうにか起こして、まだ少し呆けた思考のまままま彼女の身体をゆっくりと抱き締める。
「レイヴン?」
「……ん」
 もはや声を出すことも面倒で、代わりに抱き締めた腕の力を少し強める。
「おはよう、レイヴン」
 生きてこの手に掴んだものは、優しくて、やわらかで、何よりもあたたかい光だった。






仄かな闇から目覚めた時、一番に君の笑顔が見られたなら、それより嬉しいことは無いのです。

久しぶりに書いたけど、ほのぼのって難しい。
[ 09.12.20 ]


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